【弁護士が解説】アルバイトや派遣社員でも労災保険が適用される?

はじめに
労働者の方には、正社員ではなく、アルバイトや派遣社員といった「非正規雇用労働者」という方もいらっしゃいます。
では、アルバイトの方は、通勤中や業務中にお事故に遭われたとき、労災保険から補償を受けることはできるのでしょうか。
アルバイトの方には、会社からは利用できないと説明を受けたり、「会社ともめごとは起こしたくない。労災保険から補償が受けられるなら損することもないのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「アルバイトでも労災保険が適用されるのか」をテーマに、弁護士が解説します。
労災保険はアルバイトにも適用される?
まず、アルバイトであっても、制度上、労災保険の適用が予定されています。
つまりアルバイトなどの雇用形態であるからとの理由だけで、労災保険が適用されないということはありません。
会社から、労災利用はできないと言われた場合は?
ただ、アルバイトで労災保険が適用されるのかと疑問に思われる方には、次のように、会社から労災利用はできないと言われた方もいらっしゃるかもしれません。
会社は、「そもそもアルバイトには労災が適用されない」と言うが、本当か?
これについては、先ほどもご説明しました通り、本当ではありません。
労災保険は、「労働者」、すなわち「職業の種類を問わず、事業または事業所に使用される者で、賃金を支払われる者」(労働基準法9条)を給付の対象としており、アルバイトも適用対象として予定しています。
会社は、アルバイトのために労災の保険料は払っていないから労災利用できないと言われたが、本当か?
これについても、本当ではありません。
会社が、アルバイトには労災保険が適用されないと誤って考えるなどして、労災加入の手続をしていなかったり、労災保険料を払っていなかったとしても、労災に遭ってしまった従業員は、労災保険給付を受けることができます。
アルバイトであっても同様です。
その他、理由がはっきりしないのに会社が隠そうとする-いわゆる「労災隠し」
会社から、明確な理由を教えてもらうことなく、労災保険を使うことができないといわれることもあります。
いわゆる「労災隠し」は、責任追及をうけたくないなどと考える会社が少なくなく、後を絶たないいと言われています。
弁護士に相談する必要があるのか?
労災について、申請を検討している場合や疑問に思われた場合は、労働基準監督署に相談するという選択肢もありますが、まずは、弁護士の相談することをお勧めいたします。
理由は、次のとおりです。
労災申請の代行
先ほどもご説明したとおり、会社はさまざまな理由から労災申請に協力してくれないことがあります。
また、そうでなくとも、頼みにくいといったお声も少なからず頂きます。
実際、ご自分で申請を進めようとすると、書類の準備なども決して簡単ではありません。
申請の時点で弁護士にご相談いただければ、そういった面倒な申請の代行もサポートすることができます。
会社への損害賠償請求-労災保険からは、慰謝料は支払われない?
また、弁護士にご相談いただければ、会社に対して損害賠償請求を検討する際に、見込みの説明を受けることができ、そのまま窓口として交渉などを依頼する事も可能です。
他方、労災保険を使えば、病院への通院費用なども出るし損することはないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、労災保険では、慰謝料は支払われません。
また、休業補償も、労災から全て払われるわけではありません。
本来、支払われるべき賠償金額が残っている場合は、会社に対して、請求していく必要があります。
まとめ
今回は、アルバイトであっても、労災保険の適用対象であることを解説しました。
まずは弁護士にご相談いただくことが、適正な賠償金の支払いに繋がる近道でもあります。
会社から不適切な説明を受けて、言われるがままに手続きを進め、あるいは手続をしておらず、後々、得られるはずの賠償金を得ることができなくなったと気付いた時にはすでに遅いという事態も想定されます。
こうなる前に、まずは、弁護士にご相談下さい。