労災保険給付は不十分?
労働災害によって怪我をしたり病気にかかったときは、労災保険に申請を行うことである程度損害を補償してもらうことができます。
しかし、労災保険は一切に発生した損害を全て補償してくれるとは限りません。
たとえば労災保険の給付には慰謝料がありませんので、労働災害により被った精神的損害について補償を受けることができません。
勤務先に責任がある場合、損害賠償請求ができます
労働災害では会社に何らかの過失が認められる場合があります。
たとえば会社が機械や工場内の安全対策を十分に行っていなかったために巻き込みや転落事故が起こってしまった場合や、上司のハラスメントが原因でうつ病を発症した場合などです。
このような場合には、会社に損害賠償請求をすることにより労災保険で足りない分を補うことができます。
会社に責任が認められるケースは、使用者責任が認められる場合と安全配慮義務違反がある場合に大きく分けられます。
使用者責任が認められる場合
民法715条1項には「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」という規定があります。
これが使用者責任です。
たとえば会社の従業員が工場内で機械の操作を誤って他の従業員に怪我を負わせた場合、会社は従業員と連帯して被災労働者に対する損害賠償責任を負います。
このとき、会社に何ら過失がなかったとしても会社が使用者責任を免れることはできません。
使用者責任の時効は、原則として3年、生命や身体を害するような不法行為についての使用者責任は5年とされています。
被災してから時間が経ってしまうと会社に使用者責任を問うことができなくなりますので注意が必要です。
安全配慮義務違反がある場合
労働契約法5条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者が生命、身体等の安全を確保し労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定されています。
会社がこの安全配慮義務に違反したことが原因で労働者が損害を負った場合、被災労働者は、会社に対して損害賠償請求をすることができます。
たとえば工場内の床がぬかるんでいたことが原因で転倒した場合や、建築現場で足場が崩れて転落した場合などには、会社の安全配慮義務違反を問える可能性があります。
安全配慮義務違反による損害賠償請求の時効は、行使できることを知った時から5年間、権利の行使ができる時から20年とされていますので、時効を過ぎてしまわないように注意が必要です。
たくみ法律事務所の弁護士によるサポート
たくみ法律事務所の弁護士にご依頼いただくことで、勤務先への損害賠償請求について以下のサポートが可能です。
勤務先との交渉
労災事故について勤務先に損害賠償請求を行う際には、まず会社との話し合いから入るのが一般的です。
被災労働者の方が被った被害に見合う適正な賠償金を受領できるよう、弁護士が文書や電話等で会社と交渉を行います。
労働審判
交渉により合意に至るのが難しい場合には、労働審判や訴訟で解決を目指します。
労働審判は労使間の紛争をスピーディに解決することを目的とした裁判手続で、申立てから3か月程度で多くの事件が解決します。
弁護士は被災労働者に代わって労働審判の申立書を作成し、裁判所に提出する証拠を検討するなど手続を進めることができます。
労働審判で解決に至らなかった場合には訴訟に移行します。
裁判
交渉や労働審判で解決に至らなかった場合には、会社に対して損害賠償訴訟を提起し、裁判所が法律に基づく最終的な判断を行うことになります。
弁護士はご本人の代理人として賠償金の増額のために訴状の作成や弁論を行うことができます。
まずはご相談下さい
被災された方がご本人が自ら会社との交渉や損害賠償請求を行うことはハードルが高いことだと思います。
弁護士にご相談いただくことで、会社に損害賠償請求できる見込みがどの程度あるか、どのように交渉を進めるべきか検討し、アドバイスすることが可能です。
どうぞお気軽にたくみ法律事務所の弁護士にご相談ください。